2021.10.15 07:00権力争い 年間第29主日(マルコ10・35~45) 福音書の最初の部分で、四人の召命の話が出てきます。最初にシモン(ペトロ)とアンデレの兄弟(マルコ1・16)がイエスから「わたしについて来なさい。人を漁る漁師にしよう」(1・17)と言われ、網を捨てて従います。次にゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネです。(1・19)イエスは彼らにも声をかけ、「二人は父ゼベダイと雇い人たちとを舟に残して、イ...
2021.10.08 07:00金持ち 年間第28主日(マルコ10・17~30) 毎年、「世界長者番付」が掲載されますが、アメリカ合衆国の経済誌『フォーブス』によれば、2021年4月現在で、世界第一位はアマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏(1770億ドル)、第二位は電気自動車メーカーのテスラを創業したイーロン・マスク氏(1510億ドル)。日本ではソフトバンクの孫正義氏(450億ドル)となっていて、世界長者番付では29位で...
2021.10.01 06:00結婚観 年間第27主日(マルコ10・2~16) 今日のみことばにおいて「離縁の問題」が取り上げられますが、根本には結婚についての問いかけです。「神は創造の初めから、『人を男と女に造られた』。『それ故、人は父母を離れ、妻と結ばれ、二人は一体となる』。したがって、彼らはもはや二人ではなく、一体である」(マルコ10・6~8)と。 最近、結婚観が揺らいでいるように思います。今年の5月23日、...
2021.09.24 07:00一杯の水 年間第26主日(マルコ9・38~43,45,47~48) 今日のみことばで、「あなた方に一杯の水を飲ませる人は、決してその報いを失うことはない」(マルコ9・41)とイエスは語ります。「一杯の水」の味は、場所、状況によってけっこう違うものです。 三島に日本一の湧水としても有名な柿田川があります。富士山から三島まで約40キロありますが、三島溶岩流の間を通って、長い年月(数か月から数十年)を経て、湧...
2021.09.17 07:00「すべての人に対してすべてとなる」 年間第25主日(マルコ9・30~37) イエスは二回目の受難の予告を行います。イエスに従うにはどのようにすればよいのかを具体的に示していきます。しかし、弟子たちにはまだまだ理解するのが難しかったのかもしれません。さらにイエスに直接尋ねるのもはばかっている様子です。弟子たちはイエスに聞いたら怒られるとでも思ったのでしょうか。 イエスは弟子たちに「第一の者になろうと望む者は、いち...
2021.09.10 07:00自分の十字架を背負う 年間第24主日(マルコ8・27~35) イエスは受難の予告をした後、従うためにはどのようにすべきかを語っていきます。イエスは弟子たちとともに群衆を呼び寄せて「わたしの後に従いたい者は、自分を捨て、自分の十字架を担って、わたしに従いなさい」(マルコ8・34)と語ります。表面的にうまくいっている人でも、その人なりの十字架があります。 6年前、NHK「プロフェッショナル」制作班が作...
2021.09.03 07:00人のうわさ 年間第23主日(マルコ7・31~37) イエスはデカポリス地方に入っていきます。「デカ」は「十」、ポリスは「町」を意味します。「デカ」にしろ「ポリス」にしろ、日本語で考えてしまうと、どちらとも「警察」のイメージがしますが、まったく関係ありません。「デカポリス」は「デカ」と「ポリス」の合成語で、「十の町」を意味します。今日のみことばの中で、耳が聞こえず、舌が回らない人をイエスの...
2021.08.27 07:00ファリサイ的 年間第22主日(マルコ7・1~8,14~15,21~23) 「ファリサイ派」と聞くと、「偽善者」「イエスに嫌われる人々」というイメージが焼き付いています。実際には、ファリサイ派の人々というのは、とても模範的な人々です。例えば、「ファリサイ派の人々をはじめユダヤ人はみな、昔の人の言い伝えを固く守り、念入りに手を洗わずには食事をせず、また市場から持ち帰った物は、まず水で清めてからでなければ、それを食...
2021.08.20 07:00とんでもない話 年間第21主日(ヨハネ6・60~69) 今日の箇所の前で「わたしが父によって生きているように、わたしを食べる人もわたしによって生きる」(ヨハ6・57)とあるように、今日のみことばは前の箇所の続きです。こうした内容に弟子たちの多くの者は、「これはとんでもない話だ。誰が、こんな話を聞いていられよう」(ヨハ6・60)と言い、弟子たちの多くはイエスに背を向けて去っていき、イエスと行動...
2021.08.13 07:00聖母の被昇天の教義 聖母の被昇天(ルカ1・39~56) 聖書の中に「聖母の被昇天」という記述は出てきません。この教義が教会で認められるようになったのは、一九五〇年十一月一日のことです。ピオ十二世教皇がこの決定に踏み切りました。決定にあたり、「マリアがその地上の生活を終わった後、肉身と霊魂とともに天の栄光に上げられたことは、神によって啓示された真理である」と宣言しています。 実際、聖書にはマリ...
2021.08.06 07:00いのち 年間第19主日(ヨハネ6・41~51) 8月9日は原爆が長崎に投下されて76年になります。被爆して生き延びた方々が少なくなり、その体験を語る方も減ってきました。 6年前の6月、広島平和記念資料館を訪問し、館長の志賀賢治氏にインタビューしました。その記事は「家庭の友」2015年8月号の特集に掲載されています。インタビューの中で志賀さんは、「(私の)家族の家は、母方は爆心地から三...
2021.07.30 08:00天から降る 年間第18主日(ヨハネ6・24~35) 司祭になった頃、最初の4年間は福岡修道院で中学生志願者の係として働きました。福岡教区内で小教区を持っていないこともあり、主任司祭が留守となる教会のお手伝いを依頼されることがけっこうありました。 ある年の8月、鹿児島教区にある枕崎教会の手伝いを依頼されました。その頃、新幹線は鹿児島まで開通していなかったので、特急列車とはいえ、博多から西鹿...