人のうわさ 年間第23主日(マルコ7・31~37)
イエスはデカポリス地方に入っていきます。「デカ」は「十」、ポリスは「町」を意味します。「デカ」にしろ「ポリス」にしろ、日本語で考えてしまうと、どちらとも「警察」のイメージがしますが、まったく関係ありません。「デカポリス」は「デカ」と「ポリス」の合成語で、「十の町」を意味します。
今日のみことばの中で、耳が聞こえず、舌が回らない人をイエスのもとへ連れてきます。彼らは毎日、とても不自由な生活をしていたことが想像できます。身振り手振りでのコミュニケーションは、とても不自由だったことでしょう。そんな彼に、イエスは「両耳に自分の指を入れ、また、ご自分のつばをつけてその舌に触れ」(マルコ7・33)ます。はたから見ると何とも奇妙な光景、奇妙な治療方法に見えるのではないでしょうか。その方法で本当に治るのだろうかと…。イエスは天を仰いで「エッファタ(開け)」というと、治っていきます。何ともマジックのような不思議な奇跡です。手段はともあれ、病気が癒やされたことは、この人にとってはとても嬉しいことです。だれでも長い病気から解放されると嬉しいし、その喜びを他人に話したくなるものです。ところが、イエスは「誰にも言わないように」と命じます。ここにイエスの一つのうまいやり方があります。
人はだれしも、「話すな」とか「ここだけの話ですが」というと、ついつい他の人に話したくなり、それがいつの間にかあちこちに広がっていくものです。特に秘密事項であればなおさらではないでしょうか。そこにイエスのうまい宣教方法があります。人のうわさをうまく利用していくイエスの宣教方法。
私たちもまた、イエスのように「人のうわさ」を宣教のために上手に使っていくのも面白い方法かもしれません。
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