聖霊を感じるという種　聖霊降臨の主日（ヨハネ15・26〜27、16・12〜15）

　きょうの典礼は、【聖霊降臨】の主日です。私たちにとって【聖霊】は、どのような働きをされるのでしょう。おん父は、創造主というお方であり、イエス様は福音書を通してこのようなお方というイメージが人それぞれですが、何となくわくのではないでしょうか。では、聖霊はどのようなお方なのでしょう。

　きょうのみことばは、「最後の晩餐」の中でイエス様が弟子たちにご自分が死と復活後に【聖霊】が導いてくださるということをお話になっている場面です。きょうのみことばは、15章の終わりで一旦区切られ、それから16章12節から始まっています。しかし、省かれた部分を読んでいくとイエス様が私たちをどれほど愛してくださっているのかもっとわかるような気がいたします。

　イエス様は、「わたしの父のもとからあなた方に遣わす弁護者、すなわち、父のもとから出る真理の霊が来られるとき、この方がわたしについて証ししてくださる。」と話されます。ヨハネ福音書の中には、よく弟子たちを指して「あなた方に」とか「あなた方は」という言葉が使われます。もちろん、私たちはみことばを味わうときに、この【あなた方】は弟子たちのことだと思いながら読まれることでしょう。しかし、この【あなた方】というところに自分の名前を当てはめて読まれるとみことばがより深く、イエス様のメッセージが私たちの心に響いてくることに気づかれることでしょう。

　イエス様は、私たち（私）のために、弁護者である【聖霊】を遣わしてくださる、ということをお約束してくださいます。その聖霊は、イエス様のことを人々に【証し】をされるのです。イエス様は、聖霊が私たち（私）にご自分のことを教え、気づかせ、導いてくださると言われているのではないでしょうか。イエス様は、【聖霊】のことを【弁護者】と呼ばれています。聖霊は私たち（私）の側にまるで空気のようにいてくださいます。そのため、私たちは残念ながら聖霊の存在に気がつくことに鈍くなっているような気がいたします。私たちは、空気によって生かされているように、聖霊が私たちにイエス様のことを証ししてくださることによって生かされているとのではないでしょうか。

　イエス様は、「また、あなた方も証しするであろう。初めからわたしと共にいたからである」と言われます。この言葉を聞いた弟子たちは、自分たちがイエス様と出会い、これまで一緒に生活をしてきたことを思い出したのではないでしょうか。同時に、「自分たちはイエス様について何を証しすることが出来るのだろうか」と不安になったかもしれません。では、私たち（私）はどのようにこのみことばは響いてくるでしょう。パウロは、「母の胎内にある時からわたしを選び分け、恵みをもって召し出してくださった方が……」（ガラテヤ1・15）と伝えています。イエス様が言われる「初めから」という言葉は、私たちがすでに生まれる前からイエス様と共にいるという意味ではないでしょうか。私たちは、母親のお腹で養分を頂き成長していくようにイエス様の愛によっても成長していると言ってもいいでしょう。

　イエス様は「わたしには　まだたくさんあなた方に言いたいことがあるが、今、あなた方はそれに耐えることができない。（共同訳聖書では「理解することができない」となっています）」と言われます。きょうのみことばで省かれていますが、イエス様は「弟子たちが迫害されること」「ご自分がおん父の所に行こうとしていること」「聖霊が来て『罪について、義について、また、裁きについて、世の謝りを、明らかにしてくださる』こと」などを弟子たちに伝えています。イエス様はこれらのことを話されたあと、さらに伝えたらないものがあり、それら全てを伝えようとするには、理解することができず耐えることができないと言われているのではないでしょうか。

　イエス様は、私たちが「耐えることができない」ものを聖霊が全て教えてくださると言われます。聖霊は、私たちの側におられ、私たちの成長の過程に応じて【私たちがイエス様を証しするため】に主なる神様のことイエス様のことを教え、気づかせ、導いてくださいます。イエス様は、「……起ころうとしていることを、あなた方に告げてくださるからである」と言われます。聖霊は、ガブリエルがマリア様へのお告げの場面で「聖霊があなたに臨み、いと高き方の力が覆う。」（ルカ1・35）とありますように、私たちに対しても満たしてくださり、おん父の恵みを深く受け、福音宣教を通してイエス様を証しするために必要なことを教えてくださいます。

　イエス様は、私たちに【聖霊】をお約束してくださいました。ユダヤ人たちを恐れて戸の鍵を閉め閉じこもっていた弟子たちは、聖霊を受けて福音を伝える、イエス様を証しするために全世界へと出かけていきました。私たちも同じ聖霊をいただき、聖霊と共にイエス様を証しするという使命をいただいているのではないでしょうか。私たちが困難にあったとき、また、苦しいとき、聖霊は私たちの側にいて慰め助けてくださいます。私たちは、改めて聖霊が側にいることを感じ、日々の生活の中でイエス様を証しすることができたらいいですね。